SonnetのProjectに表面実装部品を加える方法を紹介します.

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V11以後の場合

下記で説明している手法はV10以前のSonnetに関する説明です.Sonnet V11以後では、下記の方法に加えてComponentポートを使うことができます.(右図)Componentポートは下記手法より精度が高く、扱いも容易です.詳しくは User's GuideComponentsの章を参照してください.

またキャパシタについては"チップキャパシタのモデルの作り方"、 抵抗については"薄膜抵抗の作り方"も参照してください.

V11以前の場合

Sonnetの解析モデルではいろいろな方法で表面実装部品(SMD) を取り込むことができます. このアプリケーションノートではそれらの方法と得失を説明します.

下図は多数の表面実装部品を使う典型的なLTCC回路です.

上図で二つの灰色の四角は、最終的に表面実装部品のパラメータ(Sパラメータファイルやキャパシタンスやレジスタンス)として回路に加えられなければなりません. Sonnetは表面実装部品そのものを解析しませんから、Sonnetのモデル(形状プロジェクト)は表面実装部品の位置にportを持たなくてはなりません. そして、netlistプロジェクトでは表面実装部品のパラメータを定義し、それを形状プロジェクトと接続して解析されなくてはなりません. このプロセスについては Sonnet User's GuideのChapter 11 "Netlist Project Analysis"に説明してあります. しかし、User's Guideで解説していない様々な方法があります.

Using Auto-Grounded Ports

たぶん最も分りやすい方法は、表面実装部品のそれぞれの端子にauto-grounded portを配置することです.

Auto-grounded portは、box-wall portほどには正確ではありませんが、扱いやすいので便利です.しかしながら、auto-grounded port同士が接近すると互いのが結合が起こり、それによる誤差が生じる可能性があることを忘れないでください.

この例ではport 3,4は(抵抗とかキャパシタのような)2端子の表面実装部品を、 port 5,6,7,8,9,10は(ICのような)6端子の表面実装部品のために配置されています. netlistはこの形状プロジェクトを正しく参照するように作られなければなりません. そのnetlistプロジェクトは、個々の表面実装部品の値あるいはSパラメータファイルを指定しなくてはなりません. Sonnetは形状プロジェクトを解析し、そして良く知られた線形回路理論を使って表面実装部品と形状プロジェクトを組み合わせます.

この例ではしかし!auto-grounded portの直下に金属があります. Auto-grounded portはその下のどの層であろうと金属があれば使うことができません. (Sonnet User's GuideのP109を参照してください) したがって、ここで与えられた導体パターンの配置ではAuto-grounded portを使うことはできません.これを回避する方法をこの記事の最後に紹介しますが、まずはその前に別の方法について述べます.

Using a Single Ungrounded Internal Port

最初の方法はauto-grounded portを取り去って、 下図のように ひとつのungrounded internal portを配置することです.

これはとても単純な方法ですが、portにほんの少し位相ずれを起こします.そしてまた、この方法は二端子の表面実装部品(キャパシタとかインダクタとか)にしか使えません. また、二端子のSパラメータファイルがあるときも使うことができます. ここで言う"二端子”とは”two port"ではありません."two port"は, この方法では接続できない第3の端子(ground)を持っています. この方法については Sonnet User's GuideのP211-214に説明してあります.

Using Multiple Ungrounded Internal Ports

第二の方法は共通の"ground"(portの間の金属)を持った二つのungrounded internal portを使うことです.

ここで言う"gound"は、解析空間の底や天井の ground planeとは別のものですし、それらとは電気的に接続されていません.それは単に表面実装部品を接続するためのportのための基準です.

port3が "-3"と負数になっていることに注意してください. これはungrounded internal-portの既定の極性を反転させることを示しています. 水平なungrounded internal-portでは左側の端子が負極性で、右側の端子が正極性です.垂直なungrounded internal-portでは上側の端子が負極性で、下側の端子が正極性です. 上の例では両方のportの負極が"ground"金属に接続されなくてはなりません. デフォルトの極性では、どちらのportも左側が負極性で、port3は間違った極性で接続されてしまいます. そこで、port3は "-3"として極性を反転させるのです. portの極性を反転させるには、portをダブルクリックして、portの番号を負に変更します.

前の方法に比べて、この方法の有利な点は、2端子以外の表面実装部品にも適用できることです.例えば下図のような6端子の場合にも使うことができます.

ここでもport 5,6,7は -5,-6,-7として極性を反転していることに注意してください.

この例に対応するnetlistプロジェクトはたぶん下図のようになるでしょう

ここで、lttc_geo.sonは、上で説明した2つのbox-wall portと 8個の ungrounde internal portを持った形状プロジェクトです. 第一の表面実装部品は37Ωの抵抗で、形状プロジェクトのport3,4の間に接続されます. そして第二の表面実装部品は6portのICで形状プロジェクトのport 5-10に接続されます.ic_meas.s6pファイルは6portのSパラメータファイルです.

位相誤差の検証

この方法はやはりport間の"ground"金属の電気長によって位相誤差をもってしまいます. しかしながら、幸いに、殆どの場合にその位相誤差は無視できるほどに小さいといえます. もしこの誤差が心配ならば、単純なテストパターンで確かめてみてください. 例えば、上の2portの例に関して、表面実装部品を二つの基準面に接続してください.

そして、ここでは表面実装部品を0Ωの抵抗だとします. もし解析が正しいならば、結果は0Ω抵抗のSパラメータが正しく現れるはずです. ネットリストは次のようになります.

これでS21の位相を描いてみれば、それは正確には0°ではないでしょう. それがこの方法による位相誤差です.

Flipping the Circuit

最後の方法は回路全体の上下を入れ替えることで、auto-grounded portの下の層にある導体を取り除くことです. この方法は全てのauto-grounded portが一番上の導体層にあるか、portの上のどの層にも導体が無い場合に適用できます. 下図にこの方法の概要を示します.

この場合、originalな回路はAir,Layer A そして Layer Bという3つの誘電体層を持っています. この方法を適用するため、まずoriginalなプロジェクトをnewプロジェクトにコピーします. そして newプロジェクトの全ての導体を削除します. さらにoriginalなプロジェクトの各導体層をnewプロジェクトの対応する層にコピーします. boxのtop metalとbottom metalについても忘れないでください(Circuit → Box). そして全てのviaの方向を逆向きにします. この方法は少々時間を食いますし、初心者にはお奨めできません.

上記の作業が終わったなら、newプロジェクトは上下が入れ替わっているという点を除いて全てoriginalなプロジェクトと完全に同じでなくてはなりません. そして、いよいよauto-grounded portを一番下の層に追加してゆきます. originalなプロジェクトでは、auto-grounded portの下にあった導体は、 newプロジェクトではauto-grounded portの上にありますから、 auto-grounded portを自由に追加することができます.

auto-grounded portは空気層を突き抜けて接地されているので、 空気層は波長に対して十分短くなくてはなりません.(1/8λ未満) さらに、bottom metalはlosslessでなくてはなりません.

Conclusion

この記事では表面実装部品をモデルに追加するいくつかの方法を紹介しました. それぞれの方法はportを持った形状ファイルと、 それに素子値なりSパラメータファイルなりを結びつけるnetlistを必要とします. もっとも一般的な方法はauto-grounded portを使うことですが、 それは金属導体の上方に配置できないという制限があります. さらに、それはbox-wall portやungrounded internal portほどには正確でありません. ungrounded internal portを使えば、金属導体層の上にもportを置くことができますが、 それは位相誤差を生じます. 最後にモデルの上下を入れ替える方法を紹介しました. この方法は表面実装部品が回路基板の表面に配置されている場合に、 auto-grounded portを使うことを可能にします. しかしながら、この方法は少々面倒で判りにくいかもしれません.