Auto-Grounded Portの誤差について,box wallポートと比較して何が違いどう使い分けるかを説明します.co-calibrated portではこの問題は取り除かれます

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質問

ソネットユーザー各位

私は、特にポートからグラウンド面までの距離が大きいときに、ボックスwallポートとautogroundedポートで違いがあることができることに気づきました.

例えば、1nHの線路の解析をしました(これは1nHのボンディングワイアです).430umのアルミナと2000umの空気層を基板として使いました.つまりグランド面からの距離は2430umです.両者の結果は4GhzにおいてS21が20%(2dB)違いました.言い換えればautogrounded portにはインダクタンスがついているように見えます.空気層をはずして、回路が直接430umの基板に載っているときには、このS21の違いは0.1%になります.この現象に基板誘電率は影響しないようです.

どうやら、autogrounded ポートのde-embeddingが悪いことをしているように見えます.グランド面が無い、あるいは遠い回路構造では、これは重要なことです.

誰が、これについて情報がありますか?

-T.R.フィリップス研究所、オランダ

最終更新:2003年7月18日(金曜日)

回答

ボックス-wallポートは、Autogroundedポートよりも正確です.なぜならば、ボックスwallポートの場合は、ポートは直接完全なグランド面に接続されていて、ポート不連続の要素としては単純な並列容量しか生じず、De-embeddingが簡単なのです.実際ソネットのボックス-wallポートの典型的なノイズフロアは、約140 dBです.

Autogroundedポートのポート不連続性ははるかに複雑です.Autogroundedポートでは真のグランド面に到達するまでにviaを通らねばなりません.いやなことに、このviaは、ボックス壁、や回路のほかの部分や、他のポートと結合しています.Autogroundedポートのde-embeddingの処理では、校正標準モデルが自動的に作られ、それを解析します.この校正標準の解析の時には、他の回路は取り除かれます.それゆえ、autogrounded ポートのviaと他の回路との不要結合はde-embeddingの処理には考慮されないのです.これが解析のノイズフロアを劣化させてしまいます.

単純なスルー線路にreference planeを設定して、長さ0の線路を解析することで、この問題の精度を試すことができます.詳しくは Benchmarkingページ7章の「ゼロの長さThrough」部分を見て下さい.

このベンチマークは、たとえこのような単純な問題であっても、ポートの構造、あるいはソネット以外のシミュレータのノイズフロアが異なることを示します.実際いくつかのシミュレータ(特に開放空間モーメント法を使った2次元シミュレータ)では、最もよい条件のもとでもソネットのAutogrounded ポートよりも悪いノイズフロアになります.

以下に2つのモデルファイルを添付してあります.(このファイルはsonnet6.0形式ですが、ver7以後のsonnetで読むことができます).これらのモデルでは10milのアルミナ基板の下に100milの空気層を持っています.

もし1〜10 GHzでこれらの2つのファイルを走らせれば、あなたは、bw100のS11が-140dBであるのに、ag100のS11がたった-15dBであることを確かめることができます.

Autogrounded ポートの精度は様々な要因に依存します.

  1. ポートからグラウンド平面までの距離.
  2. 最も近いボックス壁への距離.
  3. 他のautogroundedポートへの接近
  4. 他の導体パターンへの近接.

ボックス-壁ポートの正確さは、#1、#2、あるいは#3に依存しませんが、#4には依存します. #4への依存性についてはソネット・ユーザーマニュアルの"に説明されています. ("De-embedding Guidelines"の章で"The port is too close to the DUT"についての部分を読んでください).
ボックス-壁ポートが、#1、#2、#3に依存しないことはそれらのパラメーターを変えることで確かめることができます.例えば、私は、100milの空気層の厚さを1000milと10000milに変えてみましたが、-140dBのノイズフロアは変わりませんでした.しかしautogroundedポートでは、空気層の厚みに従って誤差はどんどん増えてしまいました.

したがって、可能ならば常にボックス-wallポートを使うべきです.それでは、Autogroundedポートの誤差をどうやれば減らせるのでしょう?いくつかの提案がありますが、それらは、それぞれのモデルの状況に依存します.

  1. ポートとグラウンド面の距離を減らして下さい.上のモデルでは空気の厚さを100milから50milへ減らすとS11は1GHzで-15dBから-56dBへ、10GHzでも-36dBになりました.
  2. autogroundedポートの校正標準の長さを対向するボックス壁までの距離と同じに設定してください.この理由は複雑ですが、de-embeddingのアルゴリズムと関係があります.校正標準を設定するには、まずポートを選択して、Modify-Attributeを選んでください.例えば、ポートが図形の右側に配置されていたとすると、左の壁までの距離を測ります.ag100.geoモデルでは、二つのポートのどちらも240milです.ag100.geoでこの設定を行うと、S11は1GHzで-15dBから-40dBに、10GHzでも-26dBになります.
  3. あらゆる種類の不連続部、あるいは他の金属からポートを離して下さい.これにより、ポートにある線路の長さが加えられてしまいますが、それはより長いreference planeを設定して補償できます.この方法はag100.geoにとっては意味がありません.なぜならag100.geoには他の金属や不連続部が無いからです.

--J.M.ソネット・ソフトウェア、アメリカ

2004/3/17 石飛訳

追記 2010/10/19

上記のAutogrounded ポートの問題点は,co-calibrated portに置き換えることで ほぼ完全に取り除かれます.しかし co-calibrated portは Sonnetの廉価版では 使用できません.また,Autogrounded portに比べて手間のかかるde-embedding 手法を使うので,解析時間が長くなるかもしれません.