誘電体ブリックを使ったTE01δモード誘電体共振アンテナの解析例:誘電体ブリック機能を使うと、誘電体層の一部に異なる誘電率の部分を配置することができ、3次元的解析モデルを解析できる可能性が広がります.

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TE01δモード誘電体共振アンテナとは

TE01δモード

TE01δモード共振では、電界は誘電体共振器の内部にループ状に分布し閉じ込められ、 これに鎖交する磁界が共振器の外部に漏れ出します.

外部結合

例えばマイクロストリップ線路などの導体を共振器に接近させれば、 TE01δモードの磁界と結合させることができます.

アンテナの動作

この共振器から漏れ出す磁界は 共振器の内部の電界に沿ってループコイルを配置し、そこに流れる実電流をとりまく 磁界と同じであることは容易に理解できます. 従ってこのアンテナはループアンテナと同じ動作をします.しかし この共振系には導体が存在せず、誘電体損と放射損のみです. 高周波用誘電体の損失は導体損に比べて小さいので ループアンテナより少ない内部損失、高い放射効率が期待されます.


モデルの概要

モデル dra.zon をダウンロードできます.

モデルの寸法

ここで取り上げる誘電体共振器は右図のような円筒形で、比誘電率20,直径9mm、長さ3mm、穴径3mmで、 sonnetではこれを誘電体ブリックを使って定義してあります. その誘電体共振器は0.8mm厚のテフロン基板(比誘電率2.6,誘電体厚さ0.73mm)の表面に配置し、 その近傍の幅0.9mm、特性インピーダンスおよそ80Ωの先端開放マイクロストリップ線路と磁気結合させます.


メモリ消費

誘電体ブリックのメモリ消費は非常に大きいので、 解析空間全体の中で誘電体ブリックが占める割合を可能な限り小さくするべきです. さもなければ、たちまちメモリを使い果たしてしまうでしょう.

また、同じ理由で可能な限りセルサイズを大きく設定してください. 例えばこの問題ではセルサイズを1mmから1.5mm程度からはじめるのが良いでしょう.

不要モード

この例のように高い誘電率の材料を使う系では、シミュレーションであろうと実験であろうと 意図しない共振モードが現れることが頻繁にあります.

このモデルでは、共振器を上下二層に分け、その境界にセンスレイア(高抵抗率の導体)を配置することで、右図のように共振器内部の電界分布がTE01δの分布と一致することを確かめました.


解析結果

セル数と共振周波数

解析は当初セルサイズ約1mm(セル数64x64)で行い、徐々に目的の周波数と、結合度を絞り込みながらセル数を増やしてみました.セル数64x64での解析時間は一周波数あたり4秒程度でしたが、最終的にセル数128x128では一周波数あたり60秒程度かかりました. (Core2Duo 2.1GHzとSonnet v13) その二つのモデルで共振周波数の差は4%でした.(右図)


放射特性

解析結果をpatvuに渡して、遠方界放射を調べました. おそらく、結合用のマイクロストリップの影響で対象性が不完全でした.


結論

誘電体ブリックのメモリ消費は大きいが、 注意深く設定すれば共振系や放射系にも十分適用することができます.

2007/12/10